リアルエステート仮面8

月曜日、チョット大きめの仕事が入って忙しくなった。リツコの得意な分野の仕事だったので、超熱心に取り組み他の事はすっかり忘れてしまった。木曜日になり、チョット落ち着いてきた頃、ユウキからメールが来た。

「今度の土曜日、戸建投資の人と会うんですが、御一緒に如何ですか?」

オ~~~~~~‼️そうだ。そんなこともあった。リツコは、再び、やる気を出した。「是非、参加したいです。よろしくお願い申し上げます。」と返事を返した。「わかりました」と笑顔のマークが帰ってきた。リツコはなんだか嬉しくなった。

「今度は慎重に進めないとね‼️説明の時は寝ないで聞かないと‼️明日中に仕事は終わらせるぞー‼️」リツコはルンルンした。

次の日、会社に1時間も早く行き、猛烈な勢いで仕事をした。上司が「スゴイね〜リツコ君‼️」と笑顔で話しかけた。「へへへへ」と社会人とも思えない返事をして、さらに昼ご飯も食べないで没頭して3時には終了した。上司に「終わりました‼️」と持っていくとザッと目を通してビックリしたような声で「うん、これでいいよ。ずいぶんと頑張ったね〜〜」と褒められた。「へへへへ」と又ワケのわからない返事をして「他に仕事ありますか?」と自分から聞いた。上司はさらにビックリして「イヤ、今週はもういいよ。又来週ね。」と言った。

早く会社を出たリツコは  ZARAに行ってカジュアルな服を買うことにした。ユウキがオシャレだったのを思い出したのだ。リツコはZARAでジーンズと薄い水色と白のストライプの麻のシャツを買い、ついでにABCマートでヒールのあるスニーカーを買った。「へへへへ〜っッツたのしみイーーーー‼️」と大きい声で独り言を言った。すれ違った女子高生に「あのヒト、マジやばくない⁉️」「マジ、ビミョウ⁉️」と言われた。

「ただいまー」と玄関を開けると「ニャー」と猫が出てきた。アメリカンショートヘアの子猫だ。「オ~~~~~~‼️なんだネコだ~~~ドコから来たのだ~~~」とリツコがネコに話しかけると、弟の彼女が出てきた。「あ、お姉さん、こんにちは~~~~」「このネコ私のネコなんですよ〜買ったばかりなので家に置いとけなくて連れて来ちゃったんです。」「オ~~~~~~、マイちゃんのネコか~~~」弟の彼女のマイちゃんはとてもいい子でリツコとも仲が良かった。「このネコなんていう名前⁉️」「ココユウって言うんです。いつもココって呼んでます。」「そうなんだ~~~オイ、ココこっちこいよ。」と言ってリツコはネコの前足を思いっきり引っ張った。「ニャー‼️ニャニャ‼️」「ナンダ嬉しいのかよ〜〜」「イヤ、お姉さんイヤがって………」「おもしれー」リツコはネコを抱っこして赤ちゃんのように揺すった。「カワイイね~~~‼️」とリツコは言った。マイちゃんはチョット安心してニコニコ笑いながらリツコとココを見ていた。

土曜日、リツコは買ったばかりの服を着て待ち合わせ場所に行った。戸建のある東京の下町だ。リツコの家からは、すぐ近くだった。「あーおはようございます‼️」と言ってユウキが笑顔で近づいて来た。今日はポールスミスのシャツとパンツを着ている。「ヌヌ、オシャレだな」リツコは意味もなくニヤニヤした。「ワンピース姿もイイですが、今日のスタイルもイイですね〜〜」とユウキが言った。2人で意味もなくニヤケテいると、これから見学会をはじめま〜す。という声が聞こえた。

今日の戸建はボロい家を買って、リノベーションし、その後賃貸に出すというものだった。家はまるで、新築のようだった。「スゲ〜〜‼️こんなに綺麗になるんだ………」リツコは感心した。「イイですね〜〜。こうゆうのやって見たいですね〜〜」とユウキが言った。「ホエー」とリツコは家を見ていた。

「ねえ、あなた物件持ってるの?」イキナリ綺麗な女の人に話しかけられた。35人ぐらい見学会に来ており、その中の一人だった。「イエ、私はまだ持って無いんですよ〜〜」とリツコが言うと「そうなの………私、こういった活動をしているの。」と言って名刺を差し出した。名刺には    スペシャルクラブ    貴方のための会員制   投資クラブ   大垣   アヤコ   と書いてあった。「私ね投資を志す女の人だけでクラブを立ち上げたの。よろしければ貴方も参加してみない?」とアヤコは言った。リツコはアヤコをマジマジと見た。  年の頃は43ぐらい、茶色の美しい髪に白いスーツ、グッチの鞄。オ~~~~~~セレブダッツ‼️とリツコは感心した。「サッソクだけどこれからお茶しない?」とアヤコが言った。リツコはユウキを見た。「あら、そちらの方もご一緒にどうぞいらして」とアヤコが言うので3人でドドールに行った。

「アヤコさんはどういった物件をお持ちなんですか?」ユウキがたずねた。「あら、ヒトに聞く前に自分のことを紹介なさったら?」ユウキがチョットムッとした。リツコがアワテテ「あのー会員制クラブってドンナ感じなんですか?」「御興味がおありでしたらお電話なさって。私、今日はこれで失礼するわ」と言ってアヤコはドドールを出て行った。

「リッちゃん、アンナヤツのクラブなんか入るなよ‼️怪しいよ。」いつになく、口調が厳しかった。「うーん、そうだねー。」アヤコの話はそこで終わり、さっき見た戸建のことで話は盛り上がった。

家に帰る途中で、ばったりアヤコと出会った。「あら‼️奇遇ね。キット縁があるのね〜」とアヤコが言った。「貴方、明日銀座でクラブのみんなでランチするんだけどご一緒にどうかしら?女子限定よ。お得な情報がたくさん‼️」「はあ〜〜そうですんね〜」「ぜひ」リツコは結局行くことにした。
その日の夜、ユウキから電話がかかってきた。「明日、もし良かったら映画でも見に行きませんか?」とユウキが言った。リツコは一瞬戸惑い「あー、昼過ぎからなら大丈夫ですよ〜」と答えた。「どうしたの?」と聞かれ、言いにくそうにリツコはさっきの出来事を話した。「………行くの?」とユウキが聞くので「大丈夫ですよ〜‼️でも、もし、一時になっても電話しなかったらユウキさん、電話して貰えませんか?」「イイヨ‼️」とユウキは機嫌よく答えた。

うーん、どうなるのだろうか?とリツコは思ったが、ネコの声がしたので廊下に出るとココがニャーとなきながら歩いていた。「オーネコ、いやココ、一緒に寝ようぜ~~」と言ってリツコはココと眠ることにした。

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後片付け、86パーセント終了‼️

ここの所、ヘロヘロになりながら取り組んでいた後片付けがかなり終わりに近づきました。

この家は全ての部屋が床が見えないぐらい物にあふれており、雨漏りもしていました。ただ、電気も水道も元栓から止められており窓も物で塞がれ開けられなかったため、どのぐらい雨漏りがヒドイのかは確認できませんでした。去年の9月の終わりに購入して役2ヶ月はゴミ片付けに熱中したのですが、他の物件を終了させないとマズイので半年ほど放置していました。大体、終了したので振り返ってみました。

捨てた物

  • 食器棚5つ  本棚1つ    学習机2つ   イス10個   ダイニングテーブル1つ   洋服ダンス6つ   パイプベッド2つ   米びつ1つ   (タンス類は中身がこれでもかと入っていました)   コタツ3つ    人形5つ 
  • 飲みかけの腐ったペットボトル200本ぐらい   腐って膨れたカンズメ30個ぐらい    酒20本ぐらい    栄養ドリンク50本ぐらい    ソース、醤油30本ぐらい   お菓子   など
  • ケープみたいなスプレー缶200本ぐらい   電池500個ぐらい   電球40個ぐらい    使いかけの化粧品40本ぐらい 顔を剃る剃刀300本ぐらい   
  • 洋服   売ったのが40枚ぐらい、捨てたのが300枚以上  靴    売ったのが20足捨てたのが20足ぐらい  その他衣料品多数
  • 紙類    ファンカーゴをフラットにしてギューギューにつめて7回分
  • 不燃ゴミ    90lのゴミ袋80袋と多数
  • 燃えるゴミ   45lの袋200袋ぐらい      まだまだありましたが思いだせません。

これから捨てるのは畳18枚、キッチン、ゴザ、板、テレビ2台、洗濯機2台、冷蔵庫1台です。あと、どうしたらいいか不明なのが、車のライト3つ、ボーリングの球2つ、神棚の中身、雛人形です。

今日は売れるものを売りに行きました。

  
ブックオフで1650円になりました。で、新品の鍋などをオフハウスに売って2300円でした。昨日は600円、一昨日は1560円になりました。良かったです。

昨日はマルちゃまが来てくれて、畳を一緒に二階から一階に降ろしてくれました。

  
雨漏りしてたとこがヤバイです。畳のない部屋です。

  
先週の日曜日にカサイ様が来てくれて、二階はかなり片付きました。その前はブログに書きましたがW様がきてタンスを壊してくれました。本当に皆様に感謝したいです。

この後も、何人か来てくれる予定があり、ブログを書いててツクヅク良かったと思いました。一人ではできない作業が進み、本当に本当に本当に良かったです。今一番の悩みは一階のシロアリが食った畳を外に持っていくことです。なるべく考えないようにやりたいと思います。考えると何を食べても不味いからです。アンナ、木とか紙とかばっか食べてるヤツらの何がそんなに怖いのか⁉️ヤギだと思えれば幸せになれる気がします。

今までは、あまりリフォームに人を呼ばなかったのですが、この物件に関してはドンドン呼んで参加型にしようかと思っています。リフォームに興味のある方はドンドンコメントしていただければと思います。ただ、仕上がりが左右される物、クロス貼りとかフローリング貼りはお手伝いということで実際に体験は出来ないと思います。その都度、募集しますので、よろしくお願い申し上げます。

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リアルエステート仮面7

::この物語はフィクションです。実際の人物、団体とは全く関係ありません。内容には一切の責任を取りません。

7時2分にリツコはお店に着いた。とっとと返して家に帰って、バターチキンカレーを食べようと思っていた。「スイマセーン」声をかけると速水が出てきた。「あの、資料…………」「オ~~~~~~よくきてくださいました。こんな遅い時間にすみません。どうぞ、おかけください。」「エ~~~~~~すぐ帰りたいんだけどなぁ」心の中でそう思いながらカウンターのイスに座った。

ガチャ、と音がして後ろを振り向くと、速水が自動ドアの鍵を閉めている。「なんで、閉めてるんだろう……」リツコはいぶかしく思った。その気持ちが分かったかのように「閉めとかないと他の人が入ってくるからね」と速水がつぶやいた。

カウンターの向かいに座ると、「この物件のどこがお気に召さなかったですか?」と聞いてきた。「エ~~~~~~」「そのう、父がやめろというので………」「そうですか、お父様を説き伏せられないですか?」リツコはイヤになってしまった。「あのう、もういいです‼️どうも、すみませんでした。失礼します。」と言って席を立ってドアの方に歩いて行った。

「閉めたの見てただろ……」背後から速水の低い声が聞こえた。リツコは、その声にハッとしてナントカ自動ドアを開けようとした。  がビクともしなかった。後ろから速水が近づいてくる気配がする。リツコはかなり焦り始めた。ドアをガタガタ揺すってみるがどうにもならない。

「おい」と速水がリツコの肩に手を置いた。リツコは振り向きざまに手を払うと、「ここ開けて下さい‼️出して‼️」「ヘッツ、おまえ、俺に気があるんじゃなかったのかよ。だから、こんな時間にノコノコきたんだろう?」「違います‼️早く開けてよっつ‼️」「ふざけやがって……いい金ズルだと思ったのに………せめて……」と言って、やにわにリツコの腕を強くひっぱり奥のソファーの方に連れて行った。「チョット‼️やだ❗️なにすんのよ‼️」「ガキじゃあるまいし、ワカンダロ‼️」リツコは掴まれた手を思いっきり噛んで振りほどいた。速水はギャーと叫んで「このアマ、調子に乗りやがって‼️」と逃げるリツコの後ろ髪を掴みソファーに引きずり倒した。

と、その時自動ドアの方でガリガリという音が聞こえた。速水がハッと振り向くと、巨大なバールで自動ドアをこじ開けている人間が見えた。「なんだ‼️」その瞬間、バールと男が飛び込んできた。

「だ、誰だ‼️」

「私の名前はリアルエステート仮面だっつ‼️」

男はタイガーマスクの仮面を被り、青いピチピチのTシャツに黒いジャージ、スニーカーを素足で履いていた。そして青いTシャツに白いマジックでリアルエステート仮面と書いてあった。男はバールでカウンターの天板を思いっきり叩いた。カウンターはバキッと音がして裂けた。

「うおーヤメロ~~~~‼️」と速水がカウンターに駆け寄った。リアルエステート仮面は呆然としているリツコに「早く‼️」と促した。リツコは弾かれたように起き上がり壊れた自動ドアから走って逃げた。

「お前の悪事は録画した‼️」と叫び、リアルエステート仮面もリツコに続き店を後にした。

リツコが走っていると、リアルエステート仮面が追いついた。「君‼️もうムチャするんじゃあないぞ‼️」と言ってバールを持って走り去って行った。「あ、あの、あのー〜〜」とリツコが言った時には見えなくなっていた。

リツコは、あまりの出来事に、呆然と駅を歩いていた。引っ張られた髪の毛が痛い。

「あら?」「この間のお客様?」声をかけられて、振り向くと一番最初に行った不動産屋さんの受け付けの森野さんだった。「あー、どうも」リツコはダラダラ挨拶した。「その後、どうですか?イエ、うちの社長が気にしててね〜。あの子あの調子で大丈夫かいな………ヒドイ目あってないといいけどなぁ〜〜モットわかりやすく言ってやりゃーヨカッタヨ………って。うちの社長、ハッキリ言い過ぎて怖いとこもあるんだけど、間違った事はしない人なのよ〜〜」「そうなんですか………」「あら電車が来るわ!御機嫌よう〜〜」と言って小走りで消えていった。

「不動産って思ったより簡単じゃないかも………」いつも、見る前に飛んでいるリツコもさすがに自分がバカだったとつくづく思った。

「リアルエステート仮面が来てくれて本当にヨカッタヨ。でも、誰なんだろう⁉️不動産屋を巡ってるのかな⁉️まあ、いいや。ありがとうリアルエステート仮面‼️」リツコは心の中でつぶやいた。そんなコトを考えていたら家に着いた。「そうだ、バターチキンカレー作っておいたんだ‼️たーべよーっと‼️」リツコはただいま〜と玄関を開けた。

つづく

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リアルエステート仮面6

「ただいま〜‼️」

まだ、日があるうちにリツコは家に帰ってきた。超上機嫌だ。「オッツ‼️丁度パパが帰ってる‼️ラッキー‼️」玄関に武士が履くような草履がある。リツコはリビングに走っていくと「パパ~~~~お帰り~~~~‼️」と言って素浪人のカッコをしてソファーに座っている父親の膝にまたがり抱きついた。

「オ~~~~~~リッちゃん‼️マイ、天使ちゃん‼️会いたかったよ〜〜‼️」と言ってリツコをぎゅーと抱きしめた。

リツコの父親は、現在チンドン屋さんをやっている。速水さんが言った通り定年までは、首都圏にたくさんある有名な銀行で働いていた。最も最後の方は子会社に出向のような形で働き、最後に家の近くの支店に戻り定年を迎えたのだった。

リツコの2歳違いの兄がまだ小学生の頃、母親も父親もかなり教育熱心だった。有名な私立大学までエスカレーターで行ける中学校に入学させたかったらしい。母親に至っては、兄の友人にまで口を出し、あの子と付き合うのはバカになるからやめなさい。この子は親が貧乏だから貧乏が移るからやめなさい。と信じられないような命令をしていた。兄はもともと優しい思いやりのある子供だっただけに勉強だけならともかく、人間として如何なものかという事を言う母親に深い絶望を感じていたらしい。

兄が6年生になったある日、家庭訪問で若い女の先生が家に尋ねてきた。母親は何が気に食わなかったのか、玄関から家にもあげず、一生懸命な先生の暖かい言葉掛けもまるで流し、最後に「先生、先生はまだ独身なんでしょう❓早く御結婚なさって子供をおうみになったらイカガ❓」と言い捨てて玄関のドアを閉めてしまったのだ。先生が帰った後、「何様のつもりかしら?全くイヤ~~~~ね~~~~」と、大きい声でヒトリゴトを言った。背後で、全て聞いていた兄は「うるせ〜‼️このクソババア‼️」と叫びワンワン泣きながら部屋に閉じこもってしまったのだ。母親もさすがにヤバイと思ったのか、ゴメンねゴメンねとドアゴシに謝ったけど兄は家族が寝静まった後しか出てこなくなった。

あっという間に3年が過ぎた、ある日曜日に、ガリガリに痩せてホームレスのようになった兄が出てきて父親に言った。「お父さん、僕アメリカで寿司職人をやってみたいんだ。」父親はワンワン泣きながら兄を抱きしめ「ウンウン、やってみな。なんでも協力するよ…………」と言った。それからの兄はスゴかった。毎日ロードワーク、筋トレ、自分が出来る限りの英会話の練習、何でもするからと言って自分で修行先の寿司屋を見つけてきた。。3年経つ頃には、部屋からのそっと出てきた兄とは、どこから見ても別人になっていた。

身長176cm,体重75kg,日焼けして鍛えられ引き締まった筋肉質の身体。三角形に整えられた眉、短く切り整えられた髪型。祭りが似合う感じの青年になっていた。18歳になった日に兄はアメリカへと単身旅立って言った。見送りに家族全員で行った帰り道、父親が言った。「僕ね〜〜定年までは銀行頑張るよ。早期退職もしない。でも、退職したらチンドン屋さんをやるよ。それで全国を廻りたいんだ。」「私はどうなるのよ‼️」母親が叫んだ。家族全員で母親を見た。「わかったわよ…………」と母親は言った。

それで、父親は退職金で2人雇って全国を廻っているのだ。今日の衣装は父親がお気に入りの素浪人なのだった。

「パパ~~~~リツコねえ、今度お買い物したいの~~~~。」「そうなの~~~リッちゃん、何買いたいの~~~~」「これ~~~」と言って、マイソクを出した。一目見るなり。「リツコ、ここにちゃんと座りなさい。」といきなり銀行員に戻って真面目な顔で言った。ヤバイとリツコは察し、ソファーにキチンと座り直した。

「君、これをどこの誰に勧められたの❓」「エ~~~~~~っと、00駅の前の不動産屋さんの速水って人~~~~」「あーあの男か…………」ナント、父親は速水さんを知っていた。「速水って男は随分と強引な商売するんで有名だよ。銀行にも随分とねじ込んで来たことがあったよ。せっかく稟議を通しても、違う銀行の方が金利が安いとか借りられる年数が多いとか断るんだ。挙句に、あの銀行は使えないとか動きが遅いとかセミナーで言ったりするんだよ。」リツコはビックリした。と同時に、さすがパパ‼️っと素浪人のすがたの父親を尊敬の眼差しで見つめた。「わかった‼️買わないよ‼️」「さすが、リッちゃん、飲み込みが早いね~~」と頭を撫でた。「パパ、一緒にパスタ食べに行こう」「オ~~~~~~行こう行こう、このカッコでいい❓」「イイヨ‼️超クールだよ‼️」と言って2人で父親の愛車のワーゲンのバスに乗ってパスタを食べに出かけていった。母親がリビングに来て「夕飯なにがいい❓」と聞いたが誰もいなかった。「全く‼️」とつぶやいた。

「あー楽しかった〜‼️パパ、又行こうね〜‼️」「行くよ〜〜リッちゃん、今度は中華ね‼️」という会話をした後、自分の部屋にいった。リツコは「そうだ、カトウさんに電話してみようっと」「もしもし〜、あ、あの今日セミナーでお会いした……」「アッツ‼️リツコさんですね‼️嬉しいな~~~連絡お待ちしていました。個別相談、どうでした❓」リツコは紹介された物件と連帯保証人の話、父親の話をした。「それは、良いお父様ですね〜〜安心しました。リツコさん、大家さんは思ったより大変ですから最初は手持ちのお金で買える中古の一戸建てとか分譲マンションが良いですよ〜〜」「ありがとうございます。今度、ゆっくり話聞かせてください。」「いつでも、いいですよ。それはそうと、あの不動産屋さんで買うのはやめるでしょう⁉️」「アーそうですね〜〜明日断りの電話を入れます。」「そうですか、気になるので、又電話していいですか?」「わかりました」

次の日の朝一で、速水さんに断りの電話をした。「わかりました。残念ですが、仕方ありません。でも、渡した資料を返却して頂きたいので御座います。今日、お店が忙しいので申し訳ございませんが閉店後の7時に資料を持って来店して頂けますか?」「わかりました」さすがのリツコもチョット変だと思った。カトウさんに電話して、この事を言ってみた。「そんなこと言ったの?ただのコピーなのに。うーん、7時にお店か………」「あー大丈夫です。置いて、ソッコー帰って来ますから。」と言って電話を切った。

つづく

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リアルエステート仮面5

講師は速水さんだった‼️今日は爽やかなストライプのサマージャッケトを着て、真っ白なシャツ、薄い黄緑色のネクタイをしている。センターにピシッと折り目についた麻のパンツ、素足に高そうな白い革靴を履いている。

「ナンテ、カッコイインだよ‼️全く‼️」リツコの目は速水さんに釘付けで内容は全くという程、聞いていなかった。1時間半で話は終了した。「ゴセイチョウありがとうございました。これから個別相談を行います。ご希望の方はお残り下さい。」とアナウンスがあった。

「あの」ふいに隣のアラフォー男性が声をかけてきた。「はい?」「あ、あ、あの、この後お茶でも飲みませんか?」「イヤ、私、個別相談して欲しいんです。」速水さんにと心の中で言った。「エッツ⁉️個別相談に残るの⁉️やめたほうがいいですよ〜〜」「エ~~~~~~なんでですか?」「個別相談に残ると物件を強引に買わされたりすることがあるんですよ〜〜」リツコはコイツは何言ってんだ⁉️物件が欲しくて来てんだから丁度イイじゃんか。と心の中で思った。「僕はこうゆう者です」と言って名刺を差し出した。名刺には、二代目大家    カトウ ユウキ    と書いてあった。「あー、もう大家さんなんですか?」「エ~~~~~~、東京のハズレの方でおじいちゃんがが大家さんやってたんだけど、僕が相続したんです。僕は一応公務員なんだけど、大家さんも色々と大変なんでセミナーに参加したり大家さんの会に行ったりして勉強しているんです。」「あーそうなんですか」リツコは良く見ていなかったけど、マジマジと彼を見た。

身長173Cm体重は70kgぐらい。短髪でハゲてはいない。顔は綾野剛を布団タタキで叩いたような感じだ。服は洗いざらして色が落ちた紺色のデカイ馬のラルフローレンのポロシャツにリーバイスのジーンズを履いている。靴はデッキシューズだ。靴下はボーダーのくるぶし。

「フーン、オシャレじゃん。しかも金持ちか……」お名刺ありがとうございます。とリツコはヨソイキ笑顔で会釈した。目を大きく開けて、ユウキの目を覗き込みながら「今日は個別相談に行ってみます。私も勉強させて頂きたいのでこちらから連絡させて頂きますね〜〜」とささやく様に言った「エッツ、あーハイ‼️連絡お待ちしております‼️」と顔を赤くしてユウキは言った。

それでは、次の方。リツコは呼ばれて、パーテーションで区切られたブースにルンルン入っていった。個別相談はヤッパリ速水さんだった。リツコは満面の笑みで席に着いた。

「あなたの番になるのを待ちわびていました。」速水さんは爽やかな笑顔でリツコに言った。「クーやばいってばよ〜〜‼️」心の中でリツコは叫んだ。「あなたにピッタリの物件を御用意致しました。」と言って速水さんは一枚の紙をリツコの前に差し出した。パッと価格が目に入った。「1億2000万」「ナーニー‼️」リツコは心の中で叫んだ。「あ、あ、あのチョット高いんじゃ…………」「何を言うんですか‼️リツコさん、このぐらいの物件があなたの様な方にはふさわしい‼️」「そ、そうかなぁ」「そうですよ‼️失礼ですが、御自宅のコトを調べさせていただきました。いいところに住んでいらっしゃる。一坪50万はします。で、50坪の敷地に145mmの家。お父様は有名な銀行を定年で御退職なさっていますね。家には抵当が付けられていません。で、あなたの預金が2000万、お父様の退職金も預金なさっているのでしょう❓」「オ~~~~~~立板に水とはこの事だ」リツコは心の中で感心した。

「で、どうすればいいんですか?」リツコが聞くと「ここに連帯保証人承諾書があります。銀行に持ち込むには、まだまだ書類が必要ですが、とりあえずお父様にこの書類にサインをしてもらい、連帯保証人になる事を承諾して貰って下さい。」「わかりました‼️」リツコは満面の笑みで答えてブースを後にした。

つづく

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