リアルエステート仮面7

::この物語はフィクションです。実際の人物、団体とは全く関係ありません。内容には一切の責任を取りません。

7時2分にリツコはお店に着いた。とっとと返して家に帰って、バターチキンカレーを食べようと思っていた。「スイマセーン」声をかけると速水が出てきた。「あの、資料…………」「オ~~~~~~よくきてくださいました。こんな遅い時間にすみません。どうぞ、おかけください。」「エ~~~~~~すぐ帰りたいんだけどなぁ」心の中でそう思いながらカウンターのイスに座った。

ガチャ、と音がして後ろを振り向くと、速水が自動ドアの鍵を閉めている。「なんで、閉めてるんだろう……」リツコはいぶかしく思った。その気持ちが分かったかのように「閉めとかないと他の人が入ってくるからね」と速水がつぶやいた。

カウンターの向かいに座ると、「この物件のどこがお気に召さなかったですか?」と聞いてきた。「エ~~~~~~」「そのう、父がやめろというので………」「そうですか、お父様を説き伏せられないですか?」リツコはイヤになってしまった。「あのう、もういいです‼️どうも、すみませんでした。失礼します。」と言って席を立ってドアの方に歩いて行った。

「閉めたの見てただろ……」背後から速水の低い声が聞こえた。リツコは、その声にハッとしてナントカ自動ドアを開けようとした。  がビクともしなかった。後ろから速水が近づいてくる気配がする。リツコはかなり焦り始めた。ドアをガタガタ揺すってみるがどうにもならない。

「おい」と速水がリツコの肩に手を置いた。リツコは振り向きざまに手を払うと、「ここ開けて下さい‼️出して‼️」「ヘッツ、おまえ、俺に気があるんじゃなかったのかよ。だから、こんな時間にノコノコきたんだろう?」「違います‼️早く開けてよっつ‼️」「ふざけやがって……いい金ズルだと思ったのに………せめて……」と言って、やにわにリツコの腕を強くひっぱり奥のソファーの方に連れて行った。「チョット‼️やだ❗️なにすんのよ‼️」「ガキじゃあるまいし、ワカンダロ‼️」リツコは掴まれた手を思いっきり噛んで振りほどいた。速水はギャーと叫んで「このアマ、調子に乗りやがって‼️」と逃げるリツコの後ろ髪を掴みソファーに引きずり倒した。

と、その時自動ドアの方でガリガリという音が聞こえた。速水がハッと振り向くと、巨大なバールで自動ドアをこじ開けている人間が見えた。「なんだ‼️」その瞬間、バールと男が飛び込んできた。

「だ、誰だ‼️」

「私の名前はリアルエステート仮面だっつ‼️」

男はタイガーマスクの仮面を被り、青いピチピチのTシャツに黒いジャージ、スニーカーを素足で履いていた。そして青いTシャツに白いマジックでリアルエステート仮面と書いてあった。男はバールでカウンターの天板を思いっきり叩いた。カウンターはバキッと音がして裂けた。

「うおーヤメロ~~~~‼️」と速水がカウンターに駆け寄った。リアルエステート仮面は呆然としているリツコに「早く‼️」と促した。リツコは弾かれたように起き上がり壊れた自動ドアから走って逃げた。

「お前の悪事は録画した‼️」と叫び、リアルエステート仮面もリツコに続き店を後にした。

リツコが走っていると、リアルエステート仮面が追いついた。「君‼️もうムチャするんじゃあないぞ‼️」と言ってバールを持って走り去って行った。「あ、あの、あのー〜〜」とリツコが言った時には見えなくなっていた。

リツコは、あまりの出来事に、呆然と駅を歩いていた。引っ張られた髪の毛が痛い。

「あら?」「この間のお客様?」声をかけられて、振り向くと一番最初に行った不動産屋さんの受け付けの森野さんだった。「あー、どうも」リツコはダラダラ挨拶した。「その後、どうですか?イエ、うちの社長が気にしててね〜。あの子あの調子で大丈夫かいな………ヒドイ目あってないといいけどなぁ〜〜モットわかりやすく言ってやりゃーヨカッタヨ………って。うちの社長、ハッキリ言い過ぎて怖いとこもあるんだけど、間違った事はしない人なのよ〜〜」「そうなんですか………」「あら電車が来るわ!御機嫌よう〜〜」と言って小走りで消えていった。

「不動産って思ったより簡単じゃないかも………」いつも、見る前に飛んでいるリツコもさすがに自分がバカだったとつくづく思った。

「リアルエステート仮面が来てくれて本当にヨカッタヨ。でも、誰なんだろう⁉️不動産屋を巡ってるのかな⁉️まあ、いいや。ありがとうリアルエステート仮面‼️」リツコは心の中でつぶやいた。そんなコトを考えていたら家に着いた。「そうだ、バターチキンカレー作っておいたんだ‼️たーべよーっと‼️」リツコはただいま〜と玄関を開けた。

つづく

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「リアルエステート仮面7」への6件のフィードバック

  1. 続きが気になって、気になって・・・

    今日、7が読めてヨカッタヨー

    これで安心して寝れます
    リアルエステート仮面ありがとう!

    しかし父が銀行員を退職後、チンドン屋とか・・・
    なかなか設定がクレージーですね

    そしてこれまでのストーリーも
    微妙にイカれてて、なぜか引き込まれます。

    お家大好きさんは
    リフォームが出来て、絵が書けて
    文章も書けるんですね、素敵です。

    そういえば
    リクエストで、3が1番多かったのに(私も3でした)、
    アンケートにまったく関係なく小説が始まったときは、
    すこしビビりました。

    でもそこが良いところなんだと思います。

    応援しています。

    1. ヒルティー様、コメントありませんございます‼️小説はいがいと書くの楽です。事実じゃなくていいので。
      おかげで、随分と後片付けも進みました‼️

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