水平線の向こうに12

回想の続き

ぎこちなかったが、仕事や学校があったのでナントナクいつもの日常生活に戻り誰もレセプションの時の事は言わない。1週間ぐらいして次の現場に移った俊に隆一が会いに来た。

俊さん、この間はご迷惑をおかけしました。            あ、隆一さん、イヤ〜〜みっともないところお見せしちゃって、こちらこそ申し訳ありませんでした。             俊さん、あの後、父は会社から外れました。今は不動産ブローカーみたいな事やるって言ってるようです。社長は会長になって、32歳ぐらいになった時に自分が社長に就任させていただく予定です。その間は番頭さんがツナギの社長を引き受けてくれる事になりました。これからも回る高級寿司店を出店する予定なので、俊さんに又内装を頼みたいと思っているのですが………いかがですか⁉️              ………自分でお役にたてるでしょうかね〜………               是非、よろしくお願いいたします。                   わかりました‼️ありがとうございます。       ところで、祖父がアツシ君の事が大変気になるらしくて………もし、よろしければアツシ君と父のDNA鑑定をさせて貰えないでしょうか?                     ハイ、自分でも考えていました。………マリに知られると大騒ぎになるんでできれば内密でできますかね…………              出来ると思います。

と言って、隆一は薄いプラスチックの袋に包まれた長い綿棒みたいな物を俊に差し出して、           この先でアツシ君の口の粘膜部分を軽く擦って持ってきて貰えますか?            と言った。俊は            …………わかりました…………      と答えた。                じゃあとったら電話下さい。          と言って隆一は丁寧にお辞儀して車に乗って帰って言った。俊は袋を見つめていた。

アツシ、チョットコンビニ行こうか?        俊は夜、アツシを買い物に連れ出した。        私もいくー      と妹も言ったので3人で近くのコンビニに言った。               コンビニで妹がお店をウロウロしている間に俊はチョコを買いアツシに            アツシ、チョット口開けて上むいてみな。         と声をかけ、アツシが上を向いた瞬間に素早く綿棒で口の中を擦った。そして素早くチョコを口に入れた。        アツシ、このチョコ好きだろう⁉️               あ、ありがとうお父さん‼️超うめ〜    と、アツシはニコニコ笑った。俊はチョット哀しそうな表情になり、         ミンナにアイス買って帰ろう………      と言い、買い物カゴにアイスを入れた。

翌日の朝、隆一は検査の綿棒を取りに来た。         ありがとうございます。検査の結果が出たらスグにお知らせいたします。         と、相変わらず丁寧にお辞儀して車で走り去った。俊は               検査して……その後、どうすればいいんだろう……………今まで俺の子だと思ってたのに………でも、ずっと気にせずに暮らすなんてヤッパリムリだ…………

俊は、どんなに考えても自分で答えを出す事は出来ないだろうと漠然と感じた。

何週間が過ぎ隆一が封筒を持って俊に会いに来た。                  俊さん、たびたび仕事の邪魔してすみません。結果が出ました。              と、封筒を差し出した。俊はゆっくり受け取ると、中を見た。バーコードみたいな線が並び、文字が書いてある。そこにアツシと章一が親子関係   99、3パーセントと書かれている。          …………ヤッパリ…………………            俊さん、アツシ君は父の子でした。      俊は隆一の顔を見て、かすかに頷いた。          ……………大変申し訳ありません。俊さんとマリさんさえ差し支えなければ、我が家でアツシ君を引き取らせて貰えないでしょうか⁉️ジョンにはまだ何も言ってませんが、私は弟がいたのは大変嬉しいです。             と隆一は本当に嬉しそうに言う。俊は心の中で               この人は、合理的っていうか、考えが柔軟っていうか、人の気持ちを汲めないっていうか…………でも、起きてしまった事についての新しい提案を出来る人なんだな…………確かに、選択はそんなに多くないよな……………     とつぶやいた。           ………わかりました…………マリに言ってみます。            不躾な提案、申し訳ありません。          と言って隆一は爽やかに帰って行った。

マリ、チョット話があるんだけど…………         子供達が寝た後、俊がキッチンにいるマリに話しかけた。       な〜に〜            とノウテンキにマリが返事した。俊は封筒を開けて検査結果を出した。           ………押田さんの方でDNA検査したんだ…………アツシはマスターの子だってさ……………             結果を見ながらマリは大きく目を見開いて俊を見ると               ………いつ…………いつ検査したんだよ…………なんでアタシに内緒で…………アツシは知ってんの⁉️                      怒りの色で目が燃えている。結果を持つ手が震えている。              いや、アツシは検査したこともわかってない。          ……アンタ、アツシはあんたの子って言ったじゃないか……こんな……こんな結果‼️             マリは紙をビリビリに破き足で踏みつけた。マリは物凄い形相で俊を睨むと              アンタは頭がおかしいよ‼️確かにアイツとの事はアタシが悪かった。でも、アンタのためにやったんじゃないか‼️嫌な思いをしたのは本当はアンタじゃなくてアタシだよ‼️アツシだって生まれた時から一緒にいるのに‼️            と低く絞り出すような声で顔を近づけて吐き捨てた。俊はムッとして                だからアツシは俺の子じゃない、マスターが父親だ…………向こうで引き取りたいって言ってる。                俊も顔を近づけ脅すようにマリに言った。その瞬間、マリは俊に飛びかかり               この、この恩ん知らず‼️             と叫んで胸を殴った。              何やってんだよ‼️                 お兄ちゃんが起きてきて2人を引き離した。               話しにナンねえ‼️           とぶっきらぼうにマリに言い俊はアパートを出て行った。               待て‼️コノヤロウ‼️             お母さん、やめなよ‼️近所迷惑だよ‼️            とお兄ちゃんに言われマリはトーンダウンしてキッチンの椅子に座った。               お母さん、アツシ達が起きたら大変だよ。とりあえず今日は寝よう。           と、お兄ちゃんが優しく背中をさすった。マリは我に返って                そうだね、そうだよね………もう寝よう………と言ってお兄ちゃんをハグした。        おやすみ………と言って俊以外、眠りについた。

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