水平線の向こうに⑨

お父さんと若旦那が知り合いだったなんて………

アツシ君、これからの話はチョット気分が悪いかもしれないけど聞いてくれたまえ。アツシは微かに頷いた。

最初の企画だった事もあり、自分がアレもやりたいこれもやりたいと言うのを、俊さんはうまく受け止めて尚且つお客様に喜んで頂ける動線やデザインを考えてくれた。俊さんは大学は出ていなかったが、独学で学んだらしい。で、店がホトンド出来上がった時に、父がフラッと店舗を見に来たんだ。

回想

オー‼️隆一君、頑張ってるね〜〜‼️素敵な店じゃないか‼️        お父さん、来てくれたんですか‼️ありがとうございます。      イヤイヤ、立派なものだよ。あれ⁉️彼は…………田所っていう名前じゃない⁉️         よくご存知ですね⁉️      イヤ、前チョット……………       俊に近づき          君、奥様元気⁉️         あ、ハイ、マリをご存知ですか⁉️          オー‼️よく知ってるよ。11年ぐらい前にうちのイタリアンレストランで働いてた子でしょう⁉️お店はツブレッチャタけどね〜〜     アー‼️働いてました。店長さんでしたか、その節は女房がお世話になりました。       イヤイヤ、マリちゃんは美人だったよね〜〜スタイル抜群で、色白で髪の毛なんて栗色のサラサラの  ロングへヤーでね〜〜、顔の半分ぐらい目だったヨ〜〜         ……………イヤそんな…………       そういえば君、その頃バイクで事故って入院したよね〜         …………………ハイ………………          お店でマリちゃん泣いてたよ〜〜俊が歩けなくなったらどうしよう、お金が無くて手術出来ないって‼️マリちゃん、君の事大好きだったみたいね〜あたしのツレはブラッドピットソックリってよく言ってたよ〜〜イツモ、みんなに写真を見せてたね〜〜君の。マア、ジツブツは…写真よりイイよ〜〜本当にイケメンダネ〜〜。       と言って章一は後ろを向いて歩き始めたがクルッと俊の方を向き      

ソウソウ君の手術費、僕が用立ててあげたんだよ。足が治って良かったね。ホーホホホ。    

  と言いながら章一はお店を出て車で去った。俊が顔面蒼白で立ちすくんでいると、隆一が       俊さん、父が失礼して申し訳ありません。    と何度も頭を下げた。俊は我にかえると、     イヤ、隆一さんが頭下げないで下さい………今日は、もう失礼します。     とお辞儀して現場を後にした。

俊はスグに家に帰ると、極力平静を装いながら            マリ、今日さ、隆一さんのお父さんが来てさ 。          へー       それが…………マリが前働いてたイタリアンレストランのオーナーだったんだ。       マリは料理の手を止めた。       …… マリさ、………オーナーからお金借りたの?……………       沈黙が流れた。

           うん、借りたよ‼️でも、返したよ〜〜保険の申請がおりたからさー                 あの時は俊君、マジヤバかったよ〜〜パネエってカンジ‼️           とサラダとから揚げを両手に持って笑顔で言った。          ……そうか…………マリ、苦労かけてゴメンな。ゴハン食べよう。オーイ‼️みんなゴハンだぞ〜            オー‼️お父さんがいる。わーい。  子供達がくる。末っ子の女の子がお父さんのアグラの中に座り          ワタチ、ここでたべりゅー。        と言ったのでみんな笑い、楽しく夕食を食べた。

俊はそれ以上マリに聞く気は無かった。あの事故は本当に大変な出来事で、当時お兄ちゃんはまだ2歳。内装業を起こしたばかりなのに自分の趣味でハーレーダビッドソンに乗って幅寄せされ転倒し大怪我をしたのだ。家にも実家にもお金が無いのはわかっていた。           返したってんだから、マアイイヤ…………

次の日、現場に行くと隆一が近づいて来て        俊さん、昨日は大変失礼しました。今日も、弟と社長が見に来るんです。         あ、もうホトンドの作業が終了してるんで大丈夫ですよ〜‼️             と言い、残りの作業を職人さんに指示しテキパキとこなした。3時半頃       オー‼️ファンタスティック‼️        と大声をあげながらジョンと社長がニコニコしながら現場に入ってきた。   ジョンはアチコチ見て        オー‼️クール‼️           を連発してた。俊は社長の隆に          お世話になります‼️        といって名刺を差し出し、隆も            こちらこそ、孫がお世話になります。         と言って名刺を差し出した。隆一も加わり歓談しているとジョンが会話に割り込んできた。             こんなクールなお店、ニューヨークでもナカナカナイヨ〜〜‼️                    真正面にきたジョンの顔を見て俊は、心の底から驚いた。

アツシ⁉️イヤ、そんな筈はない。小学校に行くのを見た。なんで、同じ顔なんだ⁉️           俊が凝視しているのを見て、隆が             この子は、私の若い頃と同じ顔なんですよ。なんでも隔世遺伝ってやつらしいですな。        と言いながらジョンの肩をハグした。                …………そうですか………………       隆一が       ここが完成したらレセプションを行うので父と弟、社長が出席します。             と言うと俊はハッと気がついたように              自分も家族を連れて参加して良いですか?                  と聞くと                 もちろん、どうぞご家族でご参加下さい。          と隆一は笑顔で答えた。俊は笑顔で挨拶し作業に戻った。

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