水平線の向こうに14

回想の続き

俊は、あまりのことに自分では何も考える事が出来ず、思わず隆一に電話した。

りゅ、隆一さん、夜分遅くスミマセン………マリが子供達となんかいないんです………        エッツ‼️どこにいるか心当たりはありますか⁉️            イヤ、マリは実家と絶縁してるんで…兄弟も友人もいないし………まるで見当もつかないっすよ……………           隆一はしばらく考えて             俊さん、子供達は明日は学校や保育園に行くはずです。とりあえず明日の昼頃、下のお嬢さんを保育園に迎えに行って下さい。自分の家で預かります。それからお兄ちゃんの学校とアツシ君の学校に行って2人を連れて来てください。そうすれば、マリさんは話し合いしに帰って来るはずです‼️                 わかりました。ありがとうございます。                力無く電話を切ると、なるほど、と俊は思った。本当に頭がイイんだなぁ……でも、マリは逆上するだろうな……イヤ、マリが3人の子供達を養っていけるはずもない。どの道、話し合わないとダメだ…………         俊はグッタリと疲れ床に寝っ転がった。

俊は暑くて目が覚めた。いつの間にか朝になっていた。もう11時半だ。仕事をする気力も無いので保育園に娘が来てるか、ソワソワ見に行く。娘を見つけて               ミーちゃん‼️ミユキ‼️と叫んだ。

アー‼️パパだ〜〜‼️          と俊を見つけてミユキが走り寄ってきた。俊も思わず走って行ってミユキを抱きしめた。涙がこぼれる。       よかった……よかった………あえて………         もう何があっても手放さないと心で強く強く思う。

どうしたんですか〜〜⁉️パパのお迎え珍しいですね〜‼️ミーちゃんよかったね〜〜‼️       と保育園の先生がノンキに声をかけた。         チョット家の用事が出来ちゃて迎えに来たんです。今日はこれで。        わかりました‼️お用意しますね〜〜‼️         ミーちゃん、パパと帰ろう。    ウン‼️           俊はミユキの道具を受け取ると車に乗せ走り去った。隆一の会社に行こうと思ったが、イヤな予感がしたので、まっすぐお兄ちゃんの学校に行った。中学校に着くとちょうど給食を食べ終わったところでお兄ちゃんは校庭でサッカーをしていた。俊とミユキを見つけると、物凄い速さで走ってきた。            

  お父さん‼️良かった‼️もう会えないかと思った‼️          

 お兄ちゃんが体操服の端っこで汗を拭きながら言う。           大輝、昨日はどこに泊まったんだ⁉️          …………カラオケボックスだよ…………        俊は絶句した。そんなにアツシを渡すのが嫌だったのか⁉️            お母さんは⁉️           カラオケボックスからパートに行ったよ。荷物はコインロッカー。なんで、こんなんなったの⁉️この間のパーティーにいた男のせい⁉️            ………うんまあ、そんなとこだよ…………とりあえず、今日は早退してアツシを迎えに行って家に帰ろう。       わかった。荷物取ってくる。         大輝が取りに行っている間に丁度、先生が通りかかったので挨拶して、3人で校門を出た瞬間に

チョット、アンタ、どうゆうつもりなんだ‼️

マリがゼイゼイ言いながら走ってきて、俊をスゴイ形相で睨んでいる。俊はマリのあまりの気迫に言葉が出なかった。

オマエ、私の子をミンナ連れて行くつもりだな‼️             あまりにマリの顔が怖い。悪霊が乗り移ったのかと思うほどだ。               マ、マ、マリ、こ、こ、この子達は俺の子だ………     ウルセー‼️手を離せ‼️            と、俊に飛びかかった瞬間、ミユキが 

イヤ‼️ママ、キライ‼️ミーちゃん、パパとずーっといるの‼️ママよりパパの方が好きなの‼️あっち行って‼️

と叫んだ。マリは急にテンションが下がり、ガックリとして肩を落とした。     

マリ、もう一緒に暮らすのは無理だよ。頭をお互い冷やそう。俺はこの子達と実家に行くから、あのアパートに戻ってアツシと暮らしな。家賃は俺が払うから………         すると、大輝が              お父さん、オレ、お母さんとアツシと3人でアパートで暮らすよ。おばあちゃんちにはチョクチョク顔を出すから安心して。お母さんをほっては置けないよ。             というではないか。マリは急にワンワン泣き始め              大輝、ありがとう、ありがとう……          と、大輝にすがりついた。大輝は、大丈夫、大丈夫。とマリの背中を優しく撫でて           アツシを迎えに行って帰ろう。            とマリにささやいた。すぐ近所のアツシの学校に着くとアツシはなぜか木に登って紙飛行機を飛ばしていた。デカイ声で

レオナールド‼️ 

と叫んでいる。全員、拍子抜けしたが 大輝が           アツシ、迎えに来たぞ‼️家に帰るぞ‼️           と言うとアツシは素早く降りてきた。            今日は家に帰るんだね〜〜‼️            いや、俺とお母さんとアツシだけ帰る。お父さんとミユキはおばあちゃんちに行くことになった。            ふーん。           アツシはそれ以上何も聞かなかったが、ミユキを見て、悲しそうな顔をして下を向いた。

アパートに帰った俊はミユキと自分の荷物を素早くまとめ、大輝とアツシに向かって              お母さんをよろしくな       と言ってミユキを抱っこして車にのって去って行った。アツシはミユキを見て目に涙をたくさん溜めて唇を噛み締めていた。

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