水平線の向こうに③

アツシは走りながら考えた。   あの2人は自分が行くと思う所は全部来るだろう。お兄ちゃんもあの2人が知っている場所は絶対にいない筈だ。どうしよう……駅はダメだ………     アツシは国道4号バイパスまで止まらずに走り続けた。2km走って、4号バイパスに面したセブンイレブンに到着した。

アツシは東京から45kmぐらいの場所に住んでいる。1年半ぐらい前にお兄ちゃんと自転車で東京に行こうと言って4号バイパスから自転車で真っ直ぐ走って行った事がある。結局、疲れ果て途中で引き返してきたが、途中セブンイレブンでジュースとオニギリを買って貰って、とても楽しかった記憶がある。

歩いて行くのは無理がある。でも、この間見たTVで女の子がヒッチハイクで日本をまわってた。チャレンジだ………

アツシはデッカいトラックの前でタバコを吸っているおじさんに声をかけた。  

あ、あ、あの…………       アー、ナンダ、坊主⁉️           あ、あの僕東京に行きたいんです…………も、もしよければの、のせていって貰えないでしょうか……………

おじさんはアツシをジーッと見ると、    俺はこれから福島ナンダよ。 チョット待ってな。      と言って車に乗ると無線で何か喋っていた。降りてくると      今よー俺のダチがくっからよ〜〜ダチが乗せてってくれるぜ〜〜       エッツ、あ、ありがとうございます‼️       イヤ〜〜なんか事情があんだろ〜〜       ………………………     アツシはナニモ言えなかった。 

しばらくすると、おじさんのダチが来た。 おじさんというよりはお兄さんだ。          オー‼️この坊主か❗️遠慮なく乗れや~~~~‼️    ありがとうございます、ありがとうございます‼️         じゃあ、又どこかでな~~~~‼️      おじさんに別れを告げ、トラックに乗り込んだ。

ほんとに………ほんとに………スミマセン。     イヤ〜〜イイってコトよ。言いたくないなら言わなくてもイイけどよ差し支えなきゃ何があったか言ってみな。 

アツシは頷くと、これまでの顛末を話た。トラック兄さんも中年の男の先生と同じように途中から泣き出した。涙を流しながら、   お兄ちゃん見つかるとイイナ…………     とボソッと言った。アツシは小さく頷いた。

2時間半ぐらいでトラックがたくさん停まっている場所に到着した。     俺はこれから荷物を積み込んで、又出かけなきゃなんねー。もし、なんかあったらこの番号に電話しな。    と言ってその辺の紙に携帯電話の番号を書きなぐったのをぶっきらぼうにアツシに渡した。 トラックに乗り込んだら又すぐ降りてきてジャンパーを差し出し        夜は冷えるからコレやるよ      GOODLUCK‼️         と言ってトラック兄さんは去って行った。

ここはどこだろう⁉️でもあの2人が来るコトは絶対にないな………     

アツシはニコニコしながらテケテケ歩いて行くとデッカい建物が見えた。中央卸売市場   とデッカく書いてある。    オー‼️これが卸売市場かと奇妙に感動した。もう真っ暗で誰もいない。その辺のくぼみに座ると、トラック兄さんのジャンパーを着て収穫した給食の残りをカバンから取り出してユックリ食べ始めた。食べながら、男の先生がくれた封筒を開けてお金を数えた。

2万2,500円もある………先生ありがとう…………        

トラック兄さんのジャンパーも暖かい。         トラック兄さん……………ありがとう…………と呟くと、涙が溢れてくる。アツシは泣きながら給食の残りを食べた。食べたら眠くなってカバンを抱きかかえて眠った。

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