妄想捏造連載小説  リアルエステート仮面②

朝、5時半に目覚ましがなった。ハッツと起きると鏡を見た。「ヒドイ顔だわ…………。」服を脱いで下着のまま、風呂場に行ってシャワーを浴びた。髪を乾かしていると、弟が背後に近ずいてきた。弟は6歳年下で29歳だ。

「オ~~~~~~、ネエチャン、久しぶりだな」「あーねー…」「部屋の事、ゴメンな」「……」もう決定なのか。マイッタナと思った。「彼女何歳だっけ?」「うん?24歳だよ。可愛がってやってよ。」この可愛がってという言葉はシゴくということではなく、ネエチャンが折れろよ。11歳も年上なんだから。ということだろう。    リツコは3人兄弟で上に兄がいる。アメリカで寿司バーをアメリカ人と結婚して経営している。親としては、末っ子で可愛い弟を何としても手放したくないんだろう。兄のお嫁さんが一回だけ家に来た時、母がシツコク、これも食べろあれも食べろと話かけたら

「ノウ~~~~~~~~❗️」と笑顔で言われてしまい。さすがの母も酸欠の鯉の様に口をパクパクさせており、リツコは大爆笑して顰蹙を買ったのだった。

「オンナ、三界に家無しか…………」そんなことを考えながらリツコは吊り革に掴まっていた。「取り敢えず、アパートでも借りるか?弟の結婚がうまくいかなかったら、全部私のせいにされるじゃん……」「でもな~~~賃貸ってのもな~~」リツコの友人はもう2-3人自分でローンを組んでマンションを購入しているのだった。「自分も買うか?」ふと、目の前に座っている人の読んでる本が目に入った。ビッグチュモローという雑誌だった。

「年収300万のサラリーマンが2年で年収1000万‼️」リツコの目は見出しに釘付けになった。いてもたってもいられなくなり、「すみません、その雑誌読み終わったら貰えませんか?」と思わず言ってしまった。ぎょっとした顔で中年のサラリーマンがリツコを見上げた。シゲシゲとリツコを見ると憐憫の色が浮かんだ目で黙って雑誌をリツコに差し出した。リツコはひったくるように雑誌を貰いお礼もそこそこに記事を食い入るように読み漁った。いつの間にか停車駅になり、リツコは頭がグルグルしたまま会社に着いた。

「オ~~~~~~おはよう‼️」黄色い声で上司が媚びた挨拶をした。リツコがキレているであろうと思いおべっかを使っているのだ。「おはようございます…」上の空で答えると、上司は拍子抜けしたようだった。「昨日頼んだ集計出来てる?」明るさをよそおいながらリツコに話しかけた。「あーはい…」と言って集計結果を出した。簡単な仕事だが、時間がかかってメンドクサイ。だが、バッチリまとめられていた。「オ~~~~~~さすがだね〜〜」上司はイヤミを珍しく言わないリツコを不思議そうな目で見たが、「今日は早めに帰っていいからね〜」と言い消えて行った。リツコは自分のコンピューターを開くと、文字を打ち込んだ。  

「不動産投資」     

つづく

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