水平線の向こうに18

マリが入院してから2週間が過ぎた。栄養失調だけでなく、内臓、脳、血管などにもダメージが無いか精密検査を受けることになり、マリの体調をおもんぱかりながら徐々に検査していく。その間にアパートは引き払い、アツシは俊が新しく買った家でミユキと3人で生活し、又、学校に通っていた。

 俊と学校に挨拶に行った時、アツシを見た先生方からどよめきが起こり、中には涙を浮かべてアツシに握手してきた先生もいた。俊はアツシがお金を借りた先生に、頭を何度も下げてお金を返した。

よかったなぁ……よかったなぁ……

先生は涙を流しながらアツシの肩をつかんだ。           気がつかなかったけど、ミンナいい人だ…………            アツシはこの何日かの間に自分の中で大きく何かが変わったと感じた。

アツシ〜〜いつからアメリカに行く〜⁉️ 隆一さんは夏休みがイイだろうって言ってるよ。その頃は、仕事も比較的暇だから、ミンナでアツシを送りがてらアメリカに行くか〜〜大輝にも会えるしさ〜〜。

と、俊が言う。         お母さんがもうちょっと元気になったら、僕自分で言いたいんだ。キット、僕から言わないと、又ややこしくなるきがする。           そうだなぁ〜〜‼️しかし、アツシは大きくなって本当にジョンくんとソックリになったなぁ〜〜          と俊がスゴく嬉しそうに言うので、アツシは           お父さん、4年間よっぽど悩んだんだろうな………                         お母さんの事、本当に好きなんだな………すごいな………           と心の中でつぶやいた。

マリの検査が終了し、若干のダメージはあるものの、しばらく入院すれば大丈夫だろうという結果がでた。俊は毎日病院に行き、リンゴをむいて食べさせたり足をマッサージしたりカイガイしくマリの世話をしている。マリもダイブマトモな思考回路になってきた。

土曜日、アツシはミユキを連れてお見舞いに行った。俊はもう来ていて            オッツ‼️来たな〜〜         と笑った。マリはアツシを見ると必ず何回も謝る。         お母さん、もうイイよ〜〜‼️その時は、頭に栄養が足りなかったんだよ〜〜。        とアツシが言うと        ……アタシねえ…………大輝が出て行った時、アツシ   追いかけて行ったでしょう………帰って来た時、アタシの事、スゴイ目で睨んだんだよ……その目がマスターの父親とソックリだったんだ……その時から、アツシが怖かった………だから、殴ったら止まらなくなっちゃったんだ………でも、そんな自分が嫌で嫌で………                お母さん、もうイイよ。これからの事を考えようよ。          ……うん…………         お母さん、お兄ちゃんがアメリカにいるって聞いた⁉️        ……聞いた…………無事に頑張ってて本当にヨカッタ………押田さんにお礼を言わなきゃ………               お母さん、僕もお兄ちゃんとアメリカで勉強したいんだ。        え〜〜‼️ミーちゃんは⁉️             ミーちゃんはお母さんとお父さんといるの‼️寂しくてパパ耐えられないよう‼️         ワカッタヨ。仕方ないな。          ミンナ笑った。マリも目に涙を浮かべて         寂しいけど、頑張って………     と小さな声で言った。              マリ、元気になったら、もう一人産めばいいよ‼️            はあ⁉️アンタ何言ってんの⁉️            ミンナ又笑った。

マリが退院して、俊の家でしばらく賑やかに暮らした。なぜか、一週間のうち5日ぐらいジョンがいて最初はジョン君と言っていた俊も、そのうち息子のように       オイ‼️ジョン‼️うるせえぞ‼️         なんて言うようになりマリも        アツシとジョンをよく間違えて       まぎらわしいんだよ‼️ジョン‼️         と言い、スッカリ元に戻ってきた。ボサボサだった髪も昔のようなサラサラの茶色いロングへアーになった。肌もツヤツヤで大きい子供がいるようには全く見えない。俊は、そんなマリの周りをいつもウロチョロして        ジャマだよ‼️         と言われていた。

夏休みに入った日にアツシを送るのと大輝に会うため、家族全員でアメリカに行く。もちろんジョンも一緒だ。空港に見送りにきた隆一と隆にマリはハニカミながら、       主人と息子がお世話になっております。        と挨拶出来た。そんな風景を見てジョンはアツシにそっと言った。

アツシ、これからがユーの人生のスタートよ。あのおじさんにはミーが話しをつけたからオールオッケーね。今までの常識を棄ててチャレンジ、チャレンジ、チャレンジよ‼️

アツシは強い目でうなづき、         お兄ちゃん、待ってて。今行く。     と心で呟いた。     水平線の向こうに何が待っているのか        アツシはワクワクしながら青い空を見上げた。

水平線の向こうに        〜〜完〜〜

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