これが私が俊さんから聞いた話と自分が見た情報から、推察した話だ………
隆一は、哀しそうな表情でアツシに言った。ジョンがヒザを床につき、号泣しながら
オーマイガー‼️………ソーリーアイムソーリー………アツシ………オー…… と繰り返している。祖父も嗚咽していた。 すまん。私が配慮が足り無いばかりに家族をバラバラにしてしまった……… と何度も繰り返している。
アツシは今まで不思議に感じていたことが、線になったように全ての事が合点がついた。母が自分を手元に置いておくために、あの愛情に満ちた家族、楽しかった家庭がバラバラになったのだ‼️ ……母がやりきれ無い顔で、自分を蹴りながら殴りながら言っていた オマエのせいで………オマエさえ………… このセリフは、この事だったのか‼️自分だけ、何も知らなかったのだ。
アツシ君、大丈夫かい⁉️ 隆一が心配そうに聞く。アツシは我にかえったように
あ………大丈夫です………僕、なんでこんなになったのかずーっとわからなくて………でも、わかりました………
………お父さんが出て行った後、最初はお母さんも張り切ってて、3人で楽しく暮らそうって言ってたんです。でも、すぐお金は無くなりました。お母さんは……その、無駄遣いが多くて………食費も足りなくなっちゃって………お兄ちゃんが中2になった頃、どこかでバイトしてお金を入れるようになったんです。でもお母さんが、すぐに使っちゃって、お兄ちゃんとよくケンカになってました。で、しばらくしてお母さんは夜働くようになったんです……朝、酔っ払って帰って来て………そんなにまで働いたのに、ある日お店の店長さんが来て、お母さんに売掛金って言うのを払えって………お母さんの常連さんが、不払いでお母さんが払えって………そんなの無理だから、どうしようって………そしたら、今一緒に住んでいるおじさんが立て替えてくれたんです250万………最初はみんなで感謝してたんだけど、しばらくしておじさんの会社が倒産して、行くとこないからここで住むって………仕方ないからお兄ちゃんも僕も我慢してたんだけど…………ある日、お兄ちゃんのバイト代をおじさんがよこせって言って………それで、お兄ちゃんがおじさん、殴っちゃって………そしたら…………………お母さんがおじさんをかばって………お兄ちゃんは、家を出て行ったんです………必ず迎えにくるって………僕、信じて半年待ってたんだけど、とにかく殴られるし………もう限界だなって………お兄ちゃんはどうしてるんだろう……
アツシ君、君のお兄さんは今日本にいないんだ…………… エッツ⁉️どうゆうことですか⁉️
実は、大輝君がバイトしていたのはウチの現場で、俊さんの下で働いていたんだよ。大輝君は家の事は一切話さないから、そんな事になっているとは全く気がつかなかった。本当にすまない。半年ぐらい前に、大輝君が高校に行ってない事がわかり卒業できないかもしれないという連絡が俊さんに来たんだ。大輝君の授業料は俊さんが払っていたからね。それで俊さんが怒って、現場でケンカになったんだ。大輝君には仕事をついで欲しいと俊さんがいつも言っていたので、ここは思い切って、アメリカに行って勉強して貰ったらどうかと自分が提案させて貰った。もちろん、学費は我が社で出させて貰う。
俊さんは、自分の学歴が無いのを、いつも後悔していたから、嬉しそうに大輝君にそれがいいと言ったんだ。大輝君は、母に聞いてみます。と言ってバイト代を貰って帰って行った。意外にも、その次の日、母が許してくれました。と言ってきた。俊さんもビックリしていたよ。マリも良いところがあるぐらいな感じだったよ。
トントン拍子で話が進み私の母に預けて語学の勉強をしてから、アメリカのハイスクールに入り直す事にしたんだよ。
アツシは本当に驚いた。
お兄ちゃんも限界だったんだ………まさか、僕を……殴るようになるなんて思わなかったんだ………だって、家庭を壊してまで一緒に居たかった子供を殴るなんて………お兄ちゃんも……お兄ちゃんも僕のために我慢したんだ………
アツシはしゃくりあげながら、 お母さんは……お母さんは……なんで……殴るんだろう………なんで、そこまで僕を側に置いておきたかったんだろう………お父さん……僕のせいで苦しめた……ミユキとも会えなくなって………お兄ちゃんには本当に………
もう、言葉は聞き取れない。ジョンが アツシ‼️マイブラザー‼️ ドンヲーリ‼️ と叫ぶとアツシを力いっぱいハグした。 もう独りで苦しまないで、ミーが何があってもアツシを養うよ‼️アツシのためなら、もう働くよ‼️
隆一も隆もビックリした。あの適当なジョンが自分の事ばかり考えて、自由なジョンがアツシのために自分を変えると言っている。隆一と隆は優秀な経営者だが、ジョンには自分達にはない、何かがあるんだろう。
その一部始終、章一はずーっと下を向いていた。