今日は申し込みしたセミナーの日だ。
初夏の土曜日午後1時。新宿。リツコは速水さんに会えるので、昨日は美容院にいって、寝る前にパックした。好きなワンピースを着て気合いを入れて化粧すると、35歳には見えなかった。姿見を見ながら
「ヒヒヒ、まだまだイケテンジャン~~~~ムフ~~~~‼️」と独り言を言った。部屋を出て、階段を降りていくと母親とバッタリ会った
「あら~~~リツコ‼️今日はズイブンとオメカシしているじゃないの~~~~」あまりにもニヤニヤしているので、ムッときて「ウルセーンだよ‼️ダマレ‼️」と叫んだ。「オ~~~~~~コワイ、コワイ」と茶化すように言われた。リツコは母親が苦手だった。弟ばっかり可愛がる、この女。自分では何も努力しないクセに評論ばかりする。プライドが高く見栄っ張りだ。小さい時は可愛がって貰おうと随分と勉強した。でも、この女は、そんな自分より分数もロクに出来ない弟が好きなのだ。いつの頃からか、まともな会話はしなくなった。
リツコは、電車に乗ると頭の中は期待で一杯になった。「もし、速水さんが自分にピッタリの不動産を用意してくれてたら何て言おう⁉️目を見ながら、嬉しいです‼️……イヤ恥ずかしくてムリだ。その後お食事でも!とか言われたら、どうしよう~~~~~‼️」あまりにニヤケテいたらしい。目の前に座っていた品の良いおばあさまに「楽しそうね〜〜若いっていいわね〜」と話しかけられ、ハッと我に返った。ちょうど新宿に着いたので会釈して慌ててホームに降りた。
会場はビルの2階で広さは78mmぐらい。北側が窓になっている部屋だった。速水さんがいないかキョロキョロした。「まだ来てないのかな~~~」適当に座った。ぼーっとしているとダンダン会場が混んできた。後10分で開始致しま〜す。というアナウンスが入った。「あの、隣、いいですか?」ふと見ると、アラフォーの男性が立っている。リツコはロクに見もしないで「どうぞ」と言った。「ありがとうございます‼️イヤ~~~電車を1本逃がしちゃってギリギリですよー。」「あ〜そうですか」と、リツコは見もしないで答えた。「これより当店主催の無料セミナーを開始致しま〜す。タイトルは 今、トレンドな投資法は何⁉️コレしかない‼️目指せアーリーリタイア‼️ です。」
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